12月23日 (日)  うかうかしていられない

今日は名古屋での葬儀、会場は愛昇殿というゴッツイ葬儀式場。
午前中に式は終わり初七日まで時間があるが、名古屋ではいかんともしがたい。本巣まで帰ってお取越や法事をお勤めするには時間が足らないし、式場内のお座敷で時間を調整した。
しばらくはお座敷でジッとしていたが、いつもの好奇の心が頭をもたげ、チョロチョロと愛昇殿の中を探索もしてみた。

この葬儀会社の特徴は、コンピューター管理の受付があり電話番号を入力すると、自分の記帳カードがプリントアウトされそれを香典と一緒に出すというシステム。
なかなか便利そうだが、そのうち指紋認識か音声認識にでもなるのではなかろうか・・・・葬儀も大手企業が手がけるとどんどん変わっていくだろうと思ってはみた。

会館入り口脇に置いてあったPRパンフレットの中に、この会社の創業者著作であろうか「お葬式について・・・・思うこと」という冊子が目にとまり読んでみた。
30頁ばかりに纏められた死後の世界観や葬儀の意味などが、短い文章と挿絵を交えながらわかりやすく書いてある。
古来の死穢習俗と十王経をからませたり、普段から浄土真宗の教えをちゃんと聞いていなかったら、「なるほど」と納得するよう、うまく作られている。

例えば
「あの世」と「この世には」荒れ狂う海のような大ききな川の境があ・・・・・・亡くなられた方を送り届ける船頭が僧侶。どんなことがあっても沈没しない「船」を用意するのが私(葬儀社)の使命・・・

三途の川も昔は歩いて渡ったが、最近では橋ができ車でスイスイと通行できるようになった・・・


日ごろ法話で聞く、弥陀の願船や即得往生の片鱗もこの冊子の中には感じられない。
そのうちに、「オートパイロット付きの船を用意しますので宗教や僧侶は必要ありませんよ」なんて指導しだすかも知れない。

名前や電話番号をデーターベース化し、葬儀の度に血縁や交友の情報を更新していくシステムを既に作っている。
寺壇制度に胡座をかいているお寺の鼻をあかすぐらい、いとも容易いだろう。

うかうかしていられない、浄土真宗のご法義、せめて私がお預かりしているご門徒にはちゃんと伝え続けなければ・・・
懐かしい奥さんを送り出し、無力感と感傷の中から思った日だった

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