2月2日 (月)  来客多し・・・

あっという間に2月になってしまった、きょうは法事もなくたまっている事務処理に精を出そう・・・・と思ったが、お寺にいるとそれはそれでいろいろ来客があり落ち着かない。

税理士さんに銀行さん、設計士さんと皆アポ無しだが狙ったように順番に対応した。
そして、仕上げは不思議なオジサンとのバトルだった。

お昼少し前、本堂の掃除をしていたS法務員くんが、
「ご院さん、チョッと来て下さい、僕の手には負えません・・・」
と事務所へ呼びにきた。
本堂へ行くがまったく見覚えのない顔、門徒さんでは無さそうだが、一人座っている初老の男性に声をかけご用を尋ねた。

「チョッとお尋ねしたいが・・・」と始まって、仏教や真宗、世間の状態や坊さんが怠けているだの、矢継ぎ早に質問や意見が襲いかかってきた。
何者だろう・・・防御線を張りながら、今日は時間もあることだしお付き合いをしようと決めた。
昨年秋、経験した関のK寺さん所と同じような話の展開だったからである。
http://pochi21.exblog.jp/d2008-09-17

防戦一方で話を聞いていくうちに“来たな”と思った、皮肉を込めた大乗非仏説の話へと進み始めた。やはり、神道系の宗教は相変わらず幕末の廃仏毀釈の元祖、平田篤胤(あつたね)が評価した江戸時代の富永仲基の加上説(かじょうせつ:大乗教典は釈尊入滅以後お弟子によって書き加えられていった)でもって、仏教を批判しているんだな。

文献学で水掛け論をしても得るものはないと思い。
「仏教学や世相といった一般論の話をしていても意見がすれ違うだけだし、今はあなたと私と二人しかいないのだから、自分にとってどういうことなのかといった所で話をしましょうや」
と、相手の話の腰を折った。

この間30分は掛かったであろうか、だんだんとオジサンが自分の信仰について具体的に話を始めた、訳のわからん新興宗教の襲撃かと思いきや、天理教の熱心な信者さんであった。
話を聞きながら天理教の教理や仕組み、なるほどと感心させられる所も多く、熱心にしかも真面目に信仰している姿には頭が下がった。
「てんり王のみこと」からの借りものの身体であること、死は借りものの身体をお返しすることだの、いろいろ興味深く聞いた。

ただ、過去からの因縁の受け止めや、死の受け止め方など、私がいただく浄土真宗との違いは感じられるが、それぞれの人生それはそれで良いだろうと、相手を否定することだけはしないように気を使った。

そして最後には、せっかく本堂に上がって来てくれたのだから、良い悪い・信じる信じないは別として、正面のご本尊である、阿弥陀様の救いとはどういうものかだけ聞き置いてくださいと、少し法話をした。

残念ながら彼を揺り動かすだけの才覚はない、最後の一押しと真宗講座のチラシを渡し、「今話したことをもう少し分かるようにお話ししてもらえるので、公開講座ですから偵察するつもりで一度来てみて下さい」と3時間弱のフレンドリーなバトルに終止符を打った。

お腹も減ったので、庫裏に戻ると坊守が「身振り手振りでえらい長い時間頑張とったね。皆でお昼食べながら感心しとった、ご院さんがこんな暇なときに来てあのオジさんラッキーやったわ!」と、テレビで監視カメラに写る本堂の映像を見ていたそうだ。

そんなこんなで、雑記も長くなり事務処理はまったく捗らず、トホホである。

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コメント 〈 http://9108.teacup.com/shosonji/bbs 〉
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